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2005年06月06日

無形の財産

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意思を継ぐもの

 私の母親は、育ちのせいもあってか、ずいぶんな差別主義者だった。母の父、つまり私にとっておじいさんにあたる人は、天皇陛下に直属の家臣だったようで、その影響を色濃く受け継いだのだろう。物心ついた私に彼女が出来ると、必ず苗字を聞くのだ。
 「○○チャンの苗字はなんていうの?」
 って。
 最初、意味が全く分からなかったが、どうも出身地方を気にしているらしい。
 「●●君は一重まぶただけど、大陸の血は入ってないよね?」
 とかいう質問もあった。

 大学に入り、教育学部に所属し、同和問題を勉強して、初めて私は母の差別主義に気がついた。その時の私は、ショックとやるせなさでずいぶんへこんだ記憶がある。
 そんな母が一番の大好物がにんにく料理。キムチや焼肉とか、にんにく味のものには目がなかった。

 ・・・。
 それって、本場は韓国じゃないのか?
 あるとき「あなたが大好きな料理は、あなたが一番卑しいと思っている国、一番下等だと思っている人々の文化じゃないの?」と聞いたことがあったが、返事は忘れてしまった。きっと納得のいかない答えだったとはおもうけれど。

 人には確かに、能力や性格に優劣がある。しかし、国家、民族、性別、育ち、家系なんかは、区別こそすれ、差別してはならないものだ。幸い私はそういう教育を受けてこなかったから、母親と同じ思想は体には流れていない。職をなくした私に残った、唯一誇れるところだと思っている。こういうの、反面教師って言うのかな。

 先日、昔の教え子からメールが届いた。「先生から教わったとおりにしたらうまくいったよ!次もがんばる!」というような内容だった。私には金品的な財産はなにもないが、東京に残してきた苗はすくすくと育っているようだ。

 頼むから枯れないで欲しいと、私は毎日願っている。

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Posted by t@sora at 15:23│Comments(5)
この記事へのコメント
昔、バンド仲間で1年くらい一緒にやっていて二人だけで酒を飲んだ時がありまして、その時そいつがポツリと「俺、在日韓国人なんだ。でも韓国語は一言も話せないんだよね」と告白したことがありました。
その時私は「同じ黄色い顔して、どうでもいいよ」などと言っていた覚えがあります(笑)。
まあイデオロギーは置いておきまして、持論として「色が何色だろうが、どこに住んでいようが、良い奴は良い奴、嫌な奴は嫌な奴」と単純に思ってます(笑)。
あなたは何人ですかと問われて、いつか「私ですか、地球人です」と胸を張って答えられる未来が来るといいですねぇ。
Posted by edosin at 2005年06月06日 17:54
気持ちよく拝読させていただきました!
みんながこういう気持ちでいられたらいいのに。。。
Posted by silva at 2005年06月06日 20:30
edosinさんの「地球人」...すてきですね。
こう呼べる人が沢山いたら、この地上から「国」同士の争いがなくなるかもしれません。差別とは、大義名分の言い訳の道具かも。
Posted by 北の旅烏 at 2005年06月06日 20:34
>「俺、在日韓国人なんだ。でも韓国語は一言も話せないんだよね」と告白したことがありました。
この時の彼の気持ちよくわかります。私も日本にいた時は、自分が何人なのか、どこにも属するところがなかった気がします。今は、いろんな人種が回りにいる環境で、それを気にする事もなくなりましたが、昨今の韓国ブームで、日本人の韓国に対するイメージが上がり、とてもうれしく思っています。
Posted by ゲスト at 2006年02月01日 11:48
今の若い人は、戦争をしらないから、スーって入っていけると思うんだけど、それより上の世代、つまり大陸に差別を持っている世代のおばちゃん連中が韓国ブームの土台を築いてますから、日本人は結局ミーハーなんですよ(^^;
Posted by ayappi at 2006年02月01日 12:00
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