悪いときには悪いことが重なるもので、
歯のかぶせ物が取れてしまった。夕食時、「ガリッ」と何か固いものを噛んだので、吐き出してみるとそれは4年ほど前に治療した虫歯のかぶせ物だった。お金がないときというのは、こういったものが重なるものだ。また出費か、とそう思った。
東京にいる頃、「一応、かぶせておきますが、次にこれが取れたときは、もう抜くしかないですね」と歯医者にいわれていた。だからかぶせ物を見た瞬間、あぁ、終わったな、と感じていた。
私は、隣町の中頓別の歯医者に予約をとった。東京と違って、あれこれ医者は選べない現実をちょっと痛感する。
診察台に座ると、女性の歯科衛生士さんが、私の歯と歯茎の状態を調べて、実に細かく説明してくれた。Dr.はレントゲン写真を見て、まだまだ根っこはしっかりしてますから、抜く必要はないですよ、とそう私に言った。半ば諦めていたので、不幸中の幸いというか、九死に一生というか(全然違うたとえだな)、私はほっと胸を撫で下ろしたのだった。
この歯医者の評判は置いておいて、歯や歯茎の状態の説明や、歯磨きの指導まで実に丁寧な対応だったから、私のここの歯医者の評価は二重丸。特にDr.からの説明が多く、非常に好感が持てた。たとえ営業でも、いつも笑顔を絶やさず、相手に不安感や不信感をもたれないような努力が多々あった。
そういえば、東京にいた頃利用していた歯医者は、「あっ」とか言って、それっきり何も言わずに淡々と治療する歯医者だったから、不気味で2度と行かなかったっけ。
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