さぽろぐ

暮らし・住まい  |札幌市北区

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2006年09月15日

君の名は

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 初秋の南宗谷の風は、また独特の清涼感がある。

 今日は日差しも暖かかったので、利用者さんを連れてクッチャロ湖に出かけた。
 出発前から利用者さんは目をキラキラさせている。久しぶりの外出だからだ。みんなおしゃれに気を使っているのがちょっとかわいい。
 施設では絶対的に人手不足なのはお知らせしたとおりだが、隣町の中頓別から2名の就職があり、現在新人教育の最中なのだが、ようやく余裕が生まれたので今日の外出訓練となった。人がいないと散歩も出来ないのだ。バカっ広い施設なのだが、それでも屋外に出るのは利用者さんにとっては大変なリハビリ効果がある。
 施設には、作業療法士、ケアマネなど、特別な職種の人がいるのだが、職種を超えて力をあわせての行事となる。本来なら、外出訓練は介護さんたちが中心になるのが常識らしい。人手が足りないので、ドクターにも電話番をしてもらう。ごめんよドクター(^^;
 
 この地域は、圧倒的な人不足に悩んでいる。若者が都会を目指し町を出て行くという流れを止めるには、この町を魅力的な町に変えていかないとダメだ。これは単に個人がいくら頑張ったところで効果があるものではなく、行政が腰をすえて長期的に取り組みをしなければならない課題だ。残念ながら、その流れは今はない。
 
 人が認知症になる。人格がかわってしまって、もう誰の判断もつかなくなる。転んで骨を折っても痛いと感じない。経験が生かされないから何度でも転ぶ。短期記憶がなくなるからだ。物を投げ家族を傷つける。ガスを止めることも出来ないから火事が心配だ。多くの家庭がそんな変わってしまった親を見て、鍵をかけて家に閉じ込めるという選択をする。家族が帰ってくると、家の中はめちゃくちゃ。排泄物で生活スペースが汚される。嫁が、生きがいである仕事をやめ介護にあたる。愛しているのは旦那であって、旦那の親では決してない。次第にストレスが溜まり、虐待も後を絶たない。そして家族は考える。

 「これはもうあの人ではない」

 この先をなんとかする責任はあなたにないかい?政治家さん・・・。

 「もう息子もわかんなくなってしまったけど、世話になります」といって、今日も新しい利用者さんがやってきた。私は初秋の南宗谷の風が運んできた誇りのせいで涙が自然とこぼれてきた。

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Posted by t@sora at 02:01│Comments(0)老人介護
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