山村留学で田舎暮らし

　中学の陸上部に友達に誘われて私は入部したのだが・・・。おかしいな、と、もっと早く気がつけばよかったのだ。私はこの時、ちょっと意地を張ったせいで、一生を左右する選択をしてしまったのだった。

　中学に入学するときの私は、身長も１７０センチを超え、スポーツをするには十分な体格であった。しかし、スポーツが得意だったかというと、そうでもない。図体ばかりでかくて、どちらかというと鈍臭い子供だった。理科が得意で、動物や昆虫が大好きだった記憶が強い。
　それが何故か友達の誘いを受けて、陸上部に入部してしまったのだった。後から聞いた話だが、相手は何の作意もなく、ただ単純に私の図体が大きいから、「スポーツ向きかと思い誘っただけ」だと言うことだった。
　部活の入部説明会には、１００名を越す入部希望者が集まっていた。この時おかしいと感じていればよかったのだが、みんな特に驚いている風もなかったので、そのときの私は違和感なくその場にいたのだった。
　顧問と思われる先生が教室に入ってくると、空気が一瞬で張り詰めたのが分かった。司会や、周りで見ていた先輩達の顔で、それくらいこの顧問が怖い存在であるということが感じられたのだ。そしてその顧問は、「これから５０人ずつの二班に別れて、先輩達と同じ練習をしなさい。二日間体験してみて、ついていけるようなら入部届けを出すように」と、挨拶もせずに短いセリフのみを残して、教室から去っていったのだった。
　そして私は、３年生の長距離の先輩の班で練習を開始したのだったが・・・。

＞続く

　
　

　

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