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2006年07月17日

心の旅

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 最近では、お金さえ出せば宇宙にもいける時代になってきた。スペースシャトルの窓から見える地球は、さぞかし美しいだろう。しかしこれは「旅」だろうか?
 セレブの奥様方が(失礼)、旦那の稼いできたボーナスや、親の残した遺産で豪華な世界旅行にいく。たとえばクフ王のピラミッド、万里の長城、ナスカの地上絵。しかし、私はこれも「旅なのか?」と思ってしまう。
 単に「僻み」なのかもしれない。私にはそんな所へいける金銭的な余裕はないし。けれども私には、「旅」と言うものにはどこか教育的な要素があって、旅から帰ってきたときには、何らかの人としての成長があるだろうという変な思い込みがある。なんの苦労もしないで得たお金で、便利の極みを尽くした旅行に出かけても、目に入ってきた景色は、その人の脳に何の化学反応も起こさない。
 また、旅行は「行く」というが、旅は「出る」と表現する。この二つの単語は、微妙にニュアンスが違うような気がする。覚悟の面で。旅行は単にいくだけ。旅は門出、みたいな。
 子供の頃の「旅」は、どこか冒険めいたところがあって、危険を乗り越えた暁に何らかのアイテムをゲットしてきたような気がする。大人になって子供の頃感動したところへ足を運んでみても、あまり心が動かなかったりするのは、それはやっぱり私が大人になってしまったのだろう。
 家内や娘のために、人ごみが嫌いな父親が、家族をディズニーランドなんかへ連れて行くのも、とても立派なことかもしれないが、「旅」とはいえないと思う。「旅行」だ。家内と娘ははしゃいでいるが、疲れた父親はホテルへ戻りビールをあけ、テレビをつけジャイアンツ戦を見る。日常だ。家族サービスと割り切れれば話は別だが。
 
 人は疲れたときに旅に出る。今、あくせくして仕事に集中している人は、ちょっと走るのをやめて旅に出てみよう。大切なものを思い出せるかもしれない。

 では、大人になってからの本当の「旅」とはどういうものだろう。

 私は、それは「一人旅」ではないかと思う。家庭を持ち、地位も名誉もある程度手にしたら、介護などの心配がなければ「一人旅」だ。今、これを読んでいるあなたは、「みんなで一緒に出かけた方が楽しいじゃん!」と、思ったかもしれない。しかしそれは旅ではない。「旅行」だ。
 あなたはどこかの社長かもしれない。けれど、リュックを背負い、上野駅からどこかへ向けての特急電車に乗ってしまったら、ただのおじさんだ。札束はなにかの武器になるかもしれないが、あなたが登山の途中なら、それはただの紙だ。貨幣は町でこそ通用する。
 山頂付近であなたは水を切らしてしまった。あなたは通りすがりの登山者にお金を差し出し水をくれというだろうか?「否」だ。第一彼はお金を受け取らない。「いいですよ、困ったときはお互い様です」といいながら、彼は自分の貴重な水を分けてくれるに違いない。
 あなたは水辺でキャンプを張った。家族連れがあなたのテントにやって来て、「一人ですか?一緒に焼肉しましょう」と話しかけてくる。
 あなたは国道をひたすら歩いている。町まではあと5キロほどだ。付近の農家のおばあちゃんが、「ちょっと待ってろ。これを持ってけ」、と握り飯をあなたに渡す。
 そんなこんなで、あなたはやっとの思いで家にたどり着くが、「どう?楽しかった?」という家内の問いに答えられる体力はもう残っていない。けれど目を閉じたあなたは、大切なものが何かに気づいているだろう。自分がどこから来てどこへ向かっているのかが分ったはずだ。

 昔、「心の旅」という歌が好きだった。歌詞はもうサビの部分以外忘れてしまったが、コード進行だけは今でも覚えている。誰と歌い、どこで演奏したのかも、目を閉じると今でもはっきり思い出せる。あの頃の仲間は今どこで何をしているだろうか。
 
 

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この記事へのコメント
すぐメロディーが頭の中を流れました。
旅か旅行か難しい事は今の?私には表現不可!(笑)
ただ友人と行く旅行は楽しかった。
家族の食事回数分を作らなければ行けなかった私。
旅館やホテルに到着した頃疲れから熱を出した事も度々・・・それでも行きたかった!
場所はどこでもよかった!
家を離れ現実から離れたかった私。
喫茶店すら一人で入れない私が一人旅を決行したのは5年程前。
積丹、洞爺湖、旭川・・・一泊か二泊。
その間、家を忘れ家族を忘れ・・・ようとして。
そして少し自信がつきました。
私にも出来るって事が・・・
Posted by クッキーママ at 2006年07月17日 20:49
まぁ、一人旅とは書きましたが、絶対条件ではありません(笑)。
どうですか、だんなさんを連れて、砂金公園やクッチャロ湖に遊びに来ませんか(笑)?
この地は何もないのが自慢です。考え事をするにはもってこいです。何もないから色々考えられるし、答えも見つかりやすいですよ?
Posted by ayappi at 2006年07月17日 21:09
昨日は、わざわざすいませんでした。

ブログを拝見していると、今年は色々と忙しそうでしたので連絡せずにコッソリとキャンプをしていました。

車で連れて行って戴きましたが、矢張りあそこはバイクではチョット・・・。

帰りは、名寄から札幌まで雷雨と大雨でした。
稲光は見えましたが、バイクのヘルメットに当たる雨音のせいで雷鳴は聞こえませんでした。


>人は疲れたときに旅に出る。
と、ありますが、私の場合は『キャンプに行く』のを理由にカンバッテ仕事しております。

それでも、キャンプは私にとって『心の旅』です。

ガンバッテ、お盆休みを取りますので、また車で連れてって下さい。
(その時は、虫除けスプレーをガンガン振り撒きます)
Posted by ゲスト at 2006年07月18日 21:36
キャンプはこっそりが基本ですから(^^;
あそこはまだまだごっそり砂金が出ます。お盆周辺にまた行きましょう!
Posted by ayappi at 2006年07月18日 21:50
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