山村留学で田舎暮らし

　怪しい商店では、ちょっと妙なことが起こる。

　怪しい商店の自動販売機からは、時々表と違うものが落ちてくるが、そういったびっくり系な出来事のほかに、ちょっと都会から来た私には「ん？」ということが起きる。
　昨日の事だ。怪しい商店に食材を買いにいったのだが、店内を良く見ると、大きな箱に張り紙が付いていた。箱の中身は分らない。そしてその張り紙にはこう書かれている。

　「田中さん、考え中」

　考え中？それはまさか「買うかどうか迷っている」ということだろうか？ということは、買わないかもしれない可能性もあるのだろうか（？？；　これが賞味期限のある商品だったらどうするつもりなのだろう？
　私は陰ながら今日からその商品の運命を見守っていこうと思っている。

　また、怪しい商店は何時に閉まるか分らない恐怖がある。普段は8時までの営業らしいのだが、客が来ないなと店主が判断すると、ずいぶん前に閉店となる。酪農家は早い人でこのくらいの時間上がりだから、微妙な閉店時間なのだ。やって来たはいいけれど、まだ閉店時間前なのに店が閉まっているというのは、結構力が抜ける。

　そんな怪しい商店も、夕暮れに家内が行くとお茶を出してくれる。しかも、店の中のお茶棚から、「奥さん、どれがいい？これなんかハイカラで都会の人にはいいんでないかい？」とか言って、商品をびりびりと破くのだ（＾＾；
　だから私は、怪しい商店の夫婦がどうやって生計を立てているのか、不思議で不思議でしょうがない。最近では不思議を通り越して、ちょっと怖いくらいだ。

　この地域では、一軒しか残っていない商店。娘の肉まんを１５分かけて蒸かしてくれる商店。あと十年は営業してね（＾＾；

　

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